キチンの生体吸収性縫合糸
手術に用いられる縫合糸は、非吸収性縫合糸と吸収性縫合糸があります。目的や部位によって使い分けられます。基本的に非吸収性縫合糸は抜糸が簡単な体表面や、手術後に長期間にわたって強度維持が必要な場合に使われ、材料としてはナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、絹、木綿などがあります。その他の、特に体内に埋没することになる手術については吸収性縫合糸が使われます。使われているものは、羊の腸を用いたカットグットや、合成品としてポリグルコール酸やポリ乳酸、ポリジオキサノンがあります。
キチンは生体吸収性があるだけでなく、積極的に創傷治癒を促進する効果があるので、キチンを用いた縫合糸について注目されます。任意の太さでの縫合糸の製造方法、糸の結びやすさ、強度、生体吸収性、創傷治癒などに関して縫合糸として良好な性質を持っているので、キチンを用いた生体吸収性縫合糸は活躍が期待されます。