キチンの創傷治癒促進効果

創傷治癒は特に皮膚欠損の修復において多くの研究がされてきて、修復に至るメカニズムは比較的明確になっています。しかし、一般的に創は自然治癒でも十分な修復が可能であることもあり、生体を使用した薬剤や材料の評価をすることは難しいが、キチンが創付近に存在することで早期治癒を行わせるとともに治癒後の創面をきれいにする効果があり、炎症反応の少ない生体親和性の高い材料といえます。

キチンが損傷組織に作用するとマクロファージの産生が増加し、それに伴い治癒に促進に重要な役割を果たすリゾチームの陽性細胞が増え、治癒に向かいます。さらに線維芽細胞の増殖が促進され、コラーゲンをより多く産生することにより、創後がきれいになると考えられます。また、これらの一連の動きはキチンが生体内で分解されたものが組織内に拡散し、創傷治癒促進効果の引き金になっていると考えられます。