キトサンの製造
キトサンはキチン分子を構成するN-アセチルグルコサミンからアセチル基がはずれたものです。一般にキトサンは水に溶けませんが、多くの種類の無機酸や有機酸の薄い水溶液に溶けます。この溶液をアルカリ性にすると、キトサンは沈殿して再び水に溶けなくなります。この性質はキトサンを加工する上で便利であるために、キトサンの製造方法に工夫されています。
キチンを濃い水酸化ナトリウム水溶液中で加熱処理すると、キチン分子中のN-アセチルグルコサミンのアセチル基がはずれます。これを脱アセチル化処理といい、アセチル基のはずれ度合いを脱アセチル化度といいます。
水酸化ナトリウムの濃度、処理時間、処理時間により脱アセチル化度が変わります。しかし、脱アセチル化度を大きくすると、低分子化が起こります。
固体キチンを不溶性のまま濃アルカリで処理するのを不均一系における脱アセチル化といい、キチンを一度アルカリなどに溶解してから処理するのを均一系における脱アセチル化といいます。均一系で得られたキトサンはグルコサミン分子が比較的ランダムに分布しますが、不均一系で得られたものは分散が悪く、団塊を形成して存在しています。
高い脱アセチル化度をもつキトサンを無水酢酸で処理することにより、再びアセチル化させることで任意のアセチル化度をもつキトサンにすることもできます。