キトサン、キチンの音響材料への利用

コオロギやスズムシはキチン質からなる前翅を擦り合わせることで音を出し、セミはキチン質からなる空胴をスピーカーにして大きな声を出します。音とキチン質には何か影響がありそうです。

例えばスピーカーについては、振動板として紙が使用されてきました。しかし、高性能化に対して紙単独では困難であり、新しい素材による開発が展開されています。ここにキチン質を利用した薄型タイプのスピーカーが開発されました。

また18世紀初頭に北イタリアのStradivariによりつくられたバイオリンは大きな音量と美しい音色を持つ名器と言われます。ここにキトサンを添加したワニスで表面塗装されているといいます。カチオン性ポリマーであるキトサンを木質材料や紙の表面に塗布すると、均一で硬質な被膜が形成され、優れた音響特性を生み出します。さらに対光性や着色性なども改良され、抗菌性もあります。