キトサン、キチンの紙パルプへの利用
紙の強度は繊維間の接着強度が重要な因子となり、セルロースの水酸基間の水素結合で決まります。紙の強度を上げるには水素結合を増やせばよく、繊維同士の接点を多くする方法が採られます。他には水溶性の高分子である紙力増強剤も使用され、湿潤強度などの高い紙が得られます。
紙パルプの原料であるセルロースを水に分散させると、セルロースの水酸基や微量のカルボキシル基などの酸化性基により、セルロースはアニオン性を示します。またキトサンは水に不溶ですが、希酸などに溶解してカチオン性になります。キトサンは化学構造的にセルロースに似ており直鎖状であるために、セルロースと親和性が高いです。
これらの性質を利用することで、紙の強度や印刷適性などが改良され、新しい機能紙の開発が可能になると考えられます。また生分解性であるために、古紙回収に対しても都合がよいと言えます。